朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「なら、話していいかな。事件の捜査が始まって、現場にいた流夜くんたちに、遙音くんは飛びついて助けを求めたそうだよ。ほかにも警察官はたくさんいた中を、ね。その後、流夜くんたちが見事犯人のアリバイを崩して逮捕された。そうか……遙音くん、藤城に入学したんだね」
「へえ……え?」
今、重大な情報が口にされたような気が……
「どうした?」
「いや、あの……犯人のアリバイ崩した、て?」
「ああ。計画殺人だったんだ。犯人は、犯行時間に別の場所にいるアリバイを作っていてね。一時容疑者リストからも外れたそうなんだが、流夜くんがそれを崩した。以来、遙音くんは流夜くんに懐いているらしいよ」
「………」
ほんと?
いやいや、流夜くんが学者という立場で警察に関わっている、という表現をそこまで深く考えていなかったわけではないけど、本人が『吹雪のとこで資料整理の手伝い』と言っていたから、現場に乗り込んでいるとは思いもしなかった。
「そんなことしてんの⁉」
「あれ、知らなかった?」
「し、知らない!」
ぶんぶん首を横に振ると、在義父さんは小首を傾げた。