朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「流夜くんのこととか、結構署内では有名なんだけどねえ」
「知らない――てか教えてくれてない!」
「うーん、まああの子はそういう自分から話すの苦手だからね。生い立ちのこともある」
「そ、なんだ……」
「そうだよ。だから、咲桜が流夜くんの家族のことを知ってるって聞いたときは驚いた。ま、ゆるしてやりなさい」
「ゆるさないもなんもないけど――そんなにすごいんだ……」
「うん」と、在義父さんが肯いた。
「当時流夜くんは高校生だけど、降渡くんと吹雪くんと、よく事件に首突っ込んで見事解決してくれてたなー。あのときは確か、流夜くんがアリバイ崩して、行方をくらませた犯人を見つけたのが降渡くんで、最後に捕まえたのが吹雪くん、だったかな」
「なにその役割分担みたいなのっ」
「基本的に三人ともに万能なんだけど、得意分野に特化するとそうなるんだ」
「……すごすぎて意味わかんない」
正直な感想だった。