朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
……あれ? なにか不安になってきた……。
咲桜は巻き付かれただけ、と言っていたけど……。
ふらりと立ち上がる。
「……ちょっと確認してくる」
「なにを?」
平坦な吹雪の言葉を背に受けて、部屋を出た。
夜中とはいえ人が完全にいなくなる場所ではないので、人気のなく電話を出来る場所を探した。
結果、一階ロビーまで来てしまった。
スマートフォンで、咲桜の番号を呼び出す。
時間は十二時前だ。
在義さんが家にいるのならば、起きて待っていることもない。
まだ起きているかは微妙だ。
『は、はいっ』
コール二回で咲桜が出た。
また泡喰った様子が目に浮かんで、微笑ましくなる。
「すまない、遅くに」
『い、いいえ! どうしたの? 電話珍しい』
「あー、いや、さっきの話なんだけど……」
『うん?』
「本当に……危ないことはなかったか?」