朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


『さっきって、父さん? 別に怒られなかったけど』


「……その前。うちでのこと」


『え? あっ! もしかしておでこが異様に痛いとかっ?』


「……その原因の方だ。咲桜になにか仕出かさなかったか……」


『えっ……』
 

咲桜の顔が紅く染まる音が聞こえてきそうだ。


『えと……たぶん、心配してるようなことは……ないよ? 本当に転がってただけだから……』
 

汗を飛ばしながら必死に喋るのが伝わってくる。


くそ、電話が邪魔だ。


「そうか――本当にすまなかった」


『なにをしたのかな?』


「!」


『父さん! 私の電話!』
 

いきなりの在義さん登場。電話を落としかけた。
 

向こう側では咲桜が、今度は別の意味で必死に騒いでいる。


どうやら在義さんに電話を強奪されたらしい。

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