朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「在義にとっちゃ娘ちゃんは、桃子が生きていた唯一の証拠だからな。だから娘ちゃんをなくせない。あれは娘バカでもあるが、嫁バカなんだよ」


「………そう、なんですか?」
 

咲桜の存在を通して、桃子さんがいたことを確認する。


在義さんはそうやって生きているというのか?


「そうだよ。まあ、デフォでも普通よりは親バカだろうけどな。だから別に娘ちゃんを無視して桃子だけを追ってるとか、娘ちゃんに桃子を重ねてるわけじゃねえ。ちゃんと親父だよ。ただ、桃子は何もなさすぎるんだ。今はもう『娘ちゃんがいる』ってこと以外に、桃子が存在していた証拠がねーっつーかな。お前も、娘ちゃんと仲良くなることで恨まれたりしてねえだろ?」


「………」
 

結構怖い思いはしている気がする。
 

けれど、親しくすることを邪魔されたり恨まれたりはしていない。


むしろ先ほどはアドバイスももらった。

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