朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
3 いてくれて、本当によかった。
side咲桜④
「駄目だ……さっぱり作戦が思いつかない……」
「うん……私らってこういうの駄目だったね……」
笑満と二人して頼の机で項垂れていた。頼は今日も机に突っ伏して寝ている。
相談しているのは遙音先輩のことだった。
笑満はどうにか接触をはかりたい。それは一晩のうちに決意した。
けど、どうすればいいのかが全くわからなかった。
二人そろって、恋愛経験、全くなかったから。
笑満はずっと先輩しかすきになったことがなく、所在もわからなかったために行動のしようもなかった。
私は私で誰かをすきになったことすらなかった。
うなだれるしかない。
「……夜々さんに相談にいく?」
先輩の抱えた過去が大きいだけに、クラスの友人には相談しにくい。
養護教諭にして私のお隣さんである夜々さんならば、私の出生も知っているし秘密は護ってくれる。
「そうだねえ……最後の手だよね」
「じゃあ、放課後行こうか?」