朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「うん。そうする」
放課後、夜々さんのいる保健室に行こう。
その前に……
「笑満。昼休み、流夜くんのとこ行っていい?」
「ん。行っておいでよ」
「じゃなくて……笑満も一緒に」
「あたし? お邪魔でしかないじゃん?」
「ううん。あのね、遙音先輩のこと、たぶん流夜くんならもっと知ってるから」
「……そうなの?」
「うん」
在義父さんの言っていたことが本当なら、訊けば答えてくれると思う。
ふと見遣ると、机に載せた笑満の手が小刻みに震えていた。
「……ごめん、ちょっと急だった?」
事件のこと、笑満が総てを知っているわけではない。
父親の印象も『いい人』程度しかない笑満。
事件に関わった一人である流夜くんに話を訊くのは、知らないそこまで知るということ。
……人が殺されているのだ。
しかもそれは知っている人たちで、すきな人の家族だ。
震えて当然だ。