朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
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「……そうか」
「はい。ありがとうございました!」
昼休みの旧校舎。笑満を前にして、流夜くんは少し困っているようだった。
九十度に頭を下げられた体育会系な礼を言われて、反応に困っているみたい。
「あたし、当時はただ遙音くんが心配なだけで、その周りを見てませんでした。先生がいてくれて、本当によかった。……遙音くんを助けてくれて、ありがとうございました」
……犯人が捕まったからと言って命がかえるわけではない。
けれど、事件的な解決もないままとは違うと思う。遙音先輩の気持ち。
「と言われても……最終的に捕まえたのは吹雪だしな」
困った感満載の流夜くんに、笑満は小首を傾げた。
「そうなんですか?」
「あいつが一番凶暴向きなんだ。対戦闘は吹雪の領域だ」
「でも……きっかけを作ってくれたのは、先生でしょう?」