朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
side流夜⑥
机に軽く腰かけ、手を取った咲桜は傍らに立つ。
「……なに、したんですか」
「……すまん、どれのことだ?」
その問いかけには、答えが多すぎる自分だ。
咲桜には色々しているから。
咲桜はカッと火が付いたように喋り出した。
「私が流夜くんとこにいたときですよ! 夜中に起きて、流夜くんのご家族の話を聞く以外になにあったの⁉」
……未だに気にしていたのか。
いや、気にしていてもらわないと困るんだが。
「そのうちしてやるとか言って、なにあったかすら教えてくれないじゃないですか。流夜くんは不誠実なんですか」
「………」
思いっきり眉根を寄せる咲桜。
その言われ方はちょっと嫌だな。
咲桜にそう思われるのもいただけない。
「……わかった。もう一度すればいいのか?」
「……言うでもいいですけど」
「こうしたんだ」