朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
咲桜の右頬の手をかけ、屈みこむ。
軽く触れ合うと、それまで微動だにしなかった咲桜から衝撃を受けた。
思いっきり、突き飛ばされた。
「な……なにすんのばか!」
顔を真っ赤にさせた咲桜が、泣きそうな顔で睨んでくる。
「そう、いうのは……恋人がするものでしょう! 不埒者―っ!」
言い放ち、資料室を飛び出した。
「………」
拒絶された。
「―――」
違う。
拒絶されるようなことをしたのは自分だという事実があるだけだ。
昨日も追いかけた背中を、今度は抱きしめる形で捕まえた。