朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「邪魔して、偽物の期間が終わったら告白するつもりだった」
「……じゃあ、なんで今」
「さっきみたいなこと、恋人じゃないとしちゃいけないんだろ?」
顎に手をかけ、上向かせた。
「この前の夜にキスしたこと憶えていないことはショックだったけど、もしそれが咲桜の本能的に拒否したい事実だったなら、忘れたままの方がいいと思ってた。……忘れられてもいいけど、なかったことにはしたくなかった。だからぼかしたこと言って誤魔化してた。ごめん」
咲桜の透明な瞳が大きくなる。
「……やっぱり、そうだったの……?」
「え?」
聞こえたのは、俺には意外な声だった。