朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「けど……わたし、わからないですよ。……すきとか、そういうの……」
きっと咲桜は、恋愛に疎いことがゆるされてきた。
在義さんにもらった恩を返すために生きている。それだけだった子だ。
でも、もう俺はすきなんだ。
「いいよ。わからない間にすきにさせるから」
「……なんでそんなに自信あるの」
「咲桜はもう大分、俺のことすきだと思うから」
何を自意識過剰なことを。自分でも笑えてしまうことを言っている。
でも、咲桜は腕の中に置くことをゆるしてくれている。
「一応、今の偽者は続けるから。答えがわかったらいつでも言ってくれ」
「……いいの?」
「いいよ。彼氏出来そうになったら邪魔するけど」
「またそんな……」
咲桜はくしゃりと、困ったように笑った。
今はそんな返事だけでも、十分だ。