朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
side咲桜⑤
……邪魔するなんて、堂々と宣言するかな。
――流夜くんは、ちゃんと答えてくれた。言葉にしてくれた。
今の自分では気持ちにつく名前がわからないし、どう答えていいのかもわからない。
でも、流夜くんの誠実に対しては、私も誠実に応えたい。
……今、不誠実なのは、私の方だ。
……流夜くんと一緒にいる、時間はすきだけど。
「……わかった。じゃあこれはどうだろう。付き合う前提で、偽者婚約」
「……は?」
流夜くんは、またわけのわからないことを言い出した、というような胡乱な顔をした。
「なんだ、付き合う前提って」
「結婚前提みたいなもの? たぶん、流夜くんの言う通り、私結構すきだと思う。でもそれが流夜くんと同じなのかわからないから――だから、付き合うのを前提にする、みたいな」
「……そのあとに偽婚約って繋げるとすげー意味わかんねえな」
前提と結果がねじれている。
私も、無理矢理作った言葉だ。反論は出来ない。