朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
4 ……求婚は、ちゃんとするから。
side流夜⑦
「じんぐー……」
「……なにやってんだお前」
咲桜を教室に送り出し資料室に戻ると、遙音が悲壮な顔で壁際に体育座りしていた。
「お前は仲良さそうでいいな……」
「だからなんだよ」
遙音だったら咲桜とのことはばれても構わないのだけど、なんでそんな恨めしそうな顔で見られなくちゃならない。……まさか――
「さっき、笑満ちゃんに逃げられた……」
「………」
遙音まで咲桜に、という心配はなさそうだ。
と言うか、笑満ちゃん? 昨日もそう呼んでいたように思うけど……。
「松生?」
椅子につくと、遙音は小さくなったままこくりと首を上下させた。