朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「ここに来たら笑満ちゃんいたから声かけたら……すごい勢いで逃げられた……俺嫌われてたかな……いや……あんな事件あった奴なんて嫌だよな……」
ぽつぽつ話すが、今まで見たことないくらい落ち込んでいる。
遙音は基本的にテンションが高い。
咲桜から、松生が遙音のことを憶えていたことは聞いている。
今もすきなことも。
だが、遙音から松生の話を聞いたことはなかった。
「……松生と知り合いなのか?」
知らぬふりで訊いてみる。
遙音の過去を思えば、下手に地雷は踏みたくない。
遙音は更に俯いた。
「……最後まで俺に優しかった、唯一の子だから……。頼むから今は凹まして………」
――憶えていたよりも、深いところで知っていたようだ。
最後まで、か……。