演っとけ! 劇団演劇部
「それは良かったです」
今回の作戦は、遠藤さんがアホ洸河を芝居に誘い、演劇の面白さを知らしめ、僕たちに協力させるというどっかで聞いたことのある話だった。
もちろん発案者は相田先輩である。
僕も一度はそんな色仕掛けのような作戦を反対しようとしたが、それを色仕掛けと捉えてしまうと前例の当事者として立場が危うくなることに気づき、何も言えなくなってしまった。
前の二人からは3,4メートルくらい離れているだろうか。
僕の距離からでは二人が何を話しているのかいまいち聞き取れないことが多い。たまにアホ洸河の歯の浮きそうな台詞が聞こえ、遠藤さんが照れ笑いをする演技を見せている。
終始楽しそうな会話が繰り広げられ、二人の笑い声だけがはっきりと聞こえてくる。
演技だよな、あれ。はたから見れば美男美女のお似合いカップルに見えなくもない。
沸々と湧き上がる嫉妬心を押さえ込み、僕は相田先輩の動きを(無駄を省いて)トレースするように歩いていった。
二人が角を曲がり細い道へ入ると、ダッシュで近づく。
「今日はどんなお芝居なんですか?」
「えぇと。それは、行ってみてからのお楽しみということで…」
アホ洸河の質問に適当な返事をする遠藤さん。実はどんな内容の芝居がやっているのか、彼女を始め僕らは知らない。
作戦会議をした日に、決行日は一番近い日曜日ということであっさり決まった。
「でもあそこの劇場がお休みだったら?」
と僕は不安になったが、土日だったら大抵の劇場が何らかの芝居をやっているのだと遠藤さんが教えてくれた。
そして事前に劇場に行けば公演の近い劇団のチラシが手に入るので、開演時間などをあらかじめチェックすることが出来るのだという。
「ネットでもすぐ調べられる。常識だ、常識」
と相田先輩に常識を語られてしまったが、演劇の常識を初心者の僕に求めないでほしい。
先輩に罵られた事よりも、遠藤さんもそっちサイドなので僕だけ仲間外れみたいになっていたのが悔しかった。
それからすぐ先輩がどこからか(おそらくパソコン部から勝手に)劇場のホームページと、その日公演する劇団のチラシを印刷してきた。でも公演時間は知ることが出来たが、どんな芝居がやっているのかは全く情報が載っていなかった。
今回の作戦は、遠藤さんがアホ洸河を芝居に誘い、演劇の面白さを知らしめ、僕たちに協力させるというどっかで聞いたことのある話だった。
もちろん発案者は相田先輩である。
僕も一度はそんな色仕掛けのような作戦を反対しようとしたが、それを色仕掛けと捉えてしまうと前例の当事者として立場が危うくなることに気づき、何も言えなくなってしまった。
前の二人からは3,4メートルくらい離れているだろうか。
僕の距離からでは二人が何を話しているのかいまいち聞き取れないことが多い。たまにアホ洸河の歯の浮きそうな台詞が聞こえ、遠藤さんが照れ笑いをする演技を見せている。
終始楽しそうな会話が繰り広げられ、二人の笑い声だけがはっきりと聞こえてくる。
演技だよな、あれ。はたから見れば美男美女のお似合いカップルに見えなくもない。
沸々と湧き上がる嫉妬心を押さえ込み、僕は相田先輩の動きを(無駄を省いて)トレースするように歩いていった。
二人が角を曲がり細い道へ入ると、ダッシュで近づく。
「今日はどんなお芝居なんですか?」
「えぇと。それは、行ってみてからのお楽しみということで…」
アホ洸河の質問に適当な返事をする遠藤さん。実はどんな内容の芝居がやっているのか、彼女を始め僕らは知らない。
作戦会議をした日に、決行日は一番近い日曜日ということであっさり決まった。
「でもあそこの劇場がお休みだったら?」
と僕は不安になったが、土日だったら大抵の劇場が何らかの芝居をやっているのだと遠藤さんが教えてくれた。
そして事前に劇場に行けば公演の近い劇団のチラシが手に入るので、開演時間などをあらかじめチェックすることが出来るのだという。
「ネットでもすぐ調べられる。常識だ、常識」
と相田先輩に常識を語られてしまったが、演劇の常識を初心者の僕に求めないでほしい。
先輩に罵られた事よりも、遠藤さんもそっちサイドなので僕だけ仲間外れみたいになっていたのが悔しかった。
それからすぐ先輩がどこからか(おそらくパソコン部から勝手に)劇場のホームページと、その日公演する劇団のチラシを印刷してきた。でも公演時間は知ることが出来たが、どんな芝居がやっているのかは全く情報が載っていなかった。