演っとけ! 劇団演劇部
「じゃあ、今いるんですか?」
「今野君? いるよ」
どうやら早起きもまるで無駄ではなかったようだ。
「朝早く登校している運動部の生徒のためにやっているみたいなの。本人は『実験』だって否定してるけどね」
実験?
どういう意味だろう。
僕が不思議そうにしていると
「私もよくわかってないし、直接聞いたほうがいいんじゃない?」
と、先生は放送室に案内してくれた。
「あの子は入学してから、授業中以外いつも
ここにいるのよ。だからクラスにも友達がいないみたいだし、栄斗君が仲良くしてくれると助かるな」
と少し困った顔で今野君の話をした山崎先生は職員会議があるらしく足早に職員室に戻っていった。
放送室は、職員室や(元)演劇部の部室がある一階の、図書室の向かい側に位置していた。
灯台下暗しパート2だ。
ほとほと運のない自分にうんざりしつつ、僕は放送室の扉を眺めた。
扉の上に『放送中』と表示されたランプが赤く点灯している。
さすがに会うとなると緊張してきたので、深呼吸をして、分厚いのであまり意味がないだろうけど扉をノックしてから中に入った。
放送室の中は4畳くらいの狭い室内で、たくさんの機材に囲まれていた。
入って目の前の壁側に、ツマミが並んでいる機械(音を調節するものでミキサーというらしい)があり、それに向かって座っている今野君の背中が見えた。
僕が入ってきたことに気付いているはずだけど、全く反応がない。
どこから切り出していいか悩んだ結果
「おはよう」
と、僕は無難に挨拶から入った。
「誰だ?」
今野君は挨拶も振り返りもしない。
「僕は1年の佐々木栄斗。今野くんだよね」
「ここは関係者以外立ち入り禁止だぜ」
と、聞いてきといて全く興味を示さない今野君は、僕を完全な侵入者扱いしている。
「今野君? いるよ」
どうやら早起きもまるで無駄ではなかったようだ。
「朝早く登校している運動部の生徒のためにやっているみたいなの。本人は『実験』だって否定してるけどね」
実験?
どういう意味だろう。
僕が不思議そうにしていると
「私もよくわかってないし、直接聞いたほうがいいんじゃない?」
と、先生は放送室に案内してくれた。
「あの子は入学してから、授業中以外いつも
ここにいるのよ。だからクラスにも友達がいないみたいだし、栄斗君が仲良くしてくれると助かるな」
と少し困った顔で今野君の話をした山崎先生は職員会議があるらしく足早に職員室に戻っていった。
放送室は、職員室や(元)演劇部の部室がある一階の、図書室の向かい側に位置していた。
灯台下暗しパート2だ。
ほとほと運のない自分にうんざりしつつ、僕は放送室の扉を眺めた。
扉の上に『放送中』と表示されたランプが赤く点灯している。
さすがに会うとなると緊張してきたので、深呼吸をして、分厚いのであまり意味がないだろうけど扉をノックしてから中に入った。
放送室の中は4畳くらいの狭い室内で、たくさんの機材に囲まれていた。
入って目の前の壁側に、ツマミが並んでいる機械(音を調節するものでミキサーというらしい)があり、それに向かって座っている今野君の背中が見えた。
僕が入ってきたことに気付いているはずだけど、全く反応がない。
どこから切り出していいか悩んだ結果
「おはよう」
と、僕は無難に挨拶から入った。
「誰だ?」
今野君は挨拶も振り返りもしない。
「僕は1年の佐々木栄斗。今野くんだよね」
「ここは関係者以外立ち入り禁止だぜ」
と、聞いてきといて全く興味を示さない今野君は、僕を完全な侵入者扱いしている。