演っとけ! 劇団演劇部
「いや、実験っていうのは山崎先生だけど、ちょっと前に電車でさ…」
と、僕はあの時の事件を見ていたことを話した。
「そうか、お前もあそこにいたのか」
やれやれといった感じのため息をついた今野君だったが、今までとは打って変わって僕に興味を示してきた。
「で、お前はどうしてそれと、俺が今やっていることが関係していると思ったんだ?」
「んー、こういうと今野君には悪いかもしれないけど、山崎先生に指摘されるまで正直、学校に音楽が流れていることに気付かなかったんだよね。電車の音もそうでしょ? 結構大きい音のはずなのに気にしていない。というより気にならないってほうが正しいのかな」
実験と電車の関係は思いつきで言っただけだったのだが、なんとなくそれに気付いたのは山崎先生が上を指差したときだ。
あの時、校内のBGMに耳を済ませた感覚は、車内の人たちが電車の音に聞き入っていたときと全く同じだったからだ。
「なかなか面白いやつだな、お前。名前は?」
さっきも言ったのだけど、やっぱり聞いていなかったらしい。
人の話を聞かない人間には二人の先輩のおかげで慣れている。
僕がもう一度名乗ると
「俺は今野譲。さっきから今野君って気持ち悪いからよ。ジョーって呼んでくれ」
と、やっと自己紹介までたどり着いた。
「劇団演劇部だっけか? 詳しい話を聞こうじゃねぇか」
なんとか興味を示してくれたジョーに、僕は知っている知識と演劇への熱い情熱をフル活動させて説明を始めた。
「―だから、音響っていうのは、演劇にとって切っても切れない関係なんだ。その場面のイメージにあった曲を選んだり、絶妙のタイミングで、効果音を出したりしなくちゃいけない。難しいかもしれないけど、今野君なら出来ると思うんだ」
全ての説明を終えた僕は、ジョー(違いだが)より先に真っ白に燃え尽きそうだった。
どんな反応が返ってくるかドキドキしたけど、少し考えるしぐさを見せてからジョーは
「なるほどな。それは確かに俺向きだろう」
という嬉しい返事が返ってきた。
「じゃあ!」
と、僕が身を乗り出すと
「ちょっと待て。俺はやるとは言ってねぇよ」
ジョーは冷静に片手でそれを制し、顎にコブシを置いてまた少し考え込んだ後
「一つ、条件がある」
と切り出した。
と、僕はあの時の事件を見ていたことを話した。
「そうか、お前もあそこにいたのか」
やれやれといった感じのため息をついた今野君だったが、今までとは打って変わって僕に興味を示してきた。
「で、お前はどうしてそれと、俺が今やっていることが関係していると思ったんだ?」
「んー、こういうと今野君には悪いかもしれないけど、山崎先生に指摘されるまで正直、学校に音楽が流れていることに気付かなかったんだよね。電車の音もそうでしょ? 結構大きい音のはずなのに気にしていない。というより気にならないってほうが正しいのかな」
実験と電車の関係は思いつきで言っただけだったのだが、なんとなくそれに気付いたのは山崎先生が上を指差したときだ。
あの時、校内のBGMに耳を済ませた感覚は、車内の人たちが電車の音に聞き入っていたときと全く同じだったからだ。
「なかなか面白いやつだな、お前。名前は?」
さっきも言ったのだけど、やっぱり聞いていなかったらしい。
人の話を聞かない人間には二人の先輩のおかげで慣れている。
僕がもう一度名乗ると
「俺は今野譲。さっきから今野君って気持ち悪いからよ。ジョーって呼んでくれ」
と、やっと自己紹介までたどり着いた。
「劇団演劇部だっけか? 詳しい話を聞こうじゃねぇか」
なんとか興味を示してくれたジョーに、僕は知っている知識と演劇への熱い情熱をフル活動させて説明を始めた。
「―だから、音響っていうのは、演劇にとって切っても切れない関係なんだ。その場面のイメージにあった曲を選んだり、絶妙のタイミングで、効果音を出したりしなくちゃいけない。難しいかもしれないけど、今野君なら出来ると思うんだ」
全ての説明を終えた僕は、ジョー(違いだが)より先に真っ白に燃え尽きそうだった。
どんな反応が返ってくるかドキドキしたけど、少し考えるしぐさを見せてからジョーは
「なるほどな。それは確かに俺向きだろう」
という嬉しい返事が返ってきた。
「じゃあ!」
と、僕が身を乗り出すと
「ちょっと待て。俺はやるとは言ってねぇよ」
ジョーは冷静に片手でそれを制し、顎にコブシを置いてまた少し考え込んだ後
「一つ、条件がある」
と切り出した。