演っとけ! 劇団演劇部
「お前は、拳法に負けたのではない。彼らの演技に負けたのだ」
「演技に、ですか?」
うなだれていた利一君が顔を上げる。
「そうだ。演技とは、すなわち、演ずる技。武道の世界においても、弱きものが強きものをくじく為に編み出されたものなのだ」
と、師範代が髭をさすりながら悟ったようなことを言う。
「そうなんですか?」
「さぁ?」
僕の言葉に洸河先輩が首を傾けるが、そんなこととはお構いなしに、師範代と利一君の会話は続いた。
「利一よ。彼らの元で修行を積んで、更なる高みに昇るが良い」
「しかし、師範代。私には、中国拳法を広めるという使命があります」
「遠回りもまた、修行だ」
「…わかりました」
なんだか知らないうちに別のドラマが出来上がっていた。
相田先輩が口をパクパクさせている。どうやら台詞を全部師範代に取られてしまったようだ。
利一君が立ち上がり、僕たちの前で拳と手のひらを胸の前で合わせた。
「大変失礼なことをしました。私のほうから改めて、劇団演劇部に入ることをお願いしたい」
「こちらこそ、よろしく」
僕たちもつられて、同じポーズで返事をした。
何はともあれこれで3人目の仲間、稀代のアクションスター、青井利一君の入団が決定したのだった。
「演技に、ですか?」
うなだれていた利一君が顔を上げる。
「そうだ。演技とは、すなわち、演ずる技。武道の世界においても、弱きものが強きものをくじく為に編み出されたものなのだ」
と、師範代が髭をさすりながら悟ったようなことを言う。
「そうなんですか?」
「さぁ?」
僕の言葉に洸河先輩が首を傾けるが、そんなこととはお構いなしに、師範代と利一君の会話は続いた。
「利一よ。彼らの元で修行を積んで、更なる高みに昇るが良い」
「しかし、師範代。私には、中国拳法を広めるという使命があります」
「遠回りもまた、修行だ」
「…わかりました」
なんだか知らないうちに別のドラマが出来上がっていた。
相田先輩が口をパクパクさせている。どうやら台詞を全部師範代に取られてしまったようだ。
利一君が立ち上がり、僕たちの前で拳と手のひらを胸の前で合わせた。
「大変失礼なことをしました。私のほうから改めて、劇団演劇部に入ることをお願いしたい」
「こちらこそ、よろしく」
僕たちもつられて、同じポーズで返事をした。
何はともあれこれで3人目の仲間、稀代のアクションスター、青井利一君の入団が決定したのだった。