演っとけ! 劇団演劇部
 待ちに待ったクラス対抗球技大会当日。
 体育館には1年生全員が集められ、七福神恵比寿の生まれ変わりとまで噂される温厚な校長先生(にしても噂好きの学校だ)のありがたい在りがちなお話も終わり、いよいよ試合が開始されようとしていた。
 高い天井を打ち付ける雨音が体育館全体に響いている。
 昨日の夜、10年ぶりに作ったテルテル坊主は全く役に立たなかった。
坊主のくせに赤い髪の人と同じだ、くそ。
 言い忘れていたが、このイベントは1年生だけもので、他の学年には別のカリキュラムが組み込まれている。ということで、今日は余計な邪魔が入ることはないのだ。
 それが唯一の救いといってもいい。
 もう一つ救いがあるとすれば同じチームに遠藤さんがいることだ。これは僕が足を引っ張った場合、マイナスになる可能性があるので良いとも悪いとも言える。
 ちなみに今回のバレーボールは6人制で、一クラス6チームに分けられている。
 一年生はF組まであるので、合計36チーム。かなりの数だけど、トーナメント制で6コート使って試合が同時に行われ、3セット15ポイント先取したほうが勝ち。長引いても45分で試合終了という特殊ルールのため今日中に終わることは出来るらしい。らしい、というのは実際にやったことがないからだ、と山崎先生が言っていた。
 どっちにしても一回戦で敗退となった日にはそこで出番は終わり。
かなり退屈な一日になるだろう。
まぁ、単なる学校行事だ。成績にかかわるわけでもないし、優勝したからといって何があるわけでもない。
適当に楽しんで終わろうじゃないか。
 遠藤さん以外に僕らのC組のCチーム(略してCCチーム)には、球技大会でも本を手放さない御手洗君と、席替えをしても何故かいつも近くにいる小島。そして学級委員長の桜井さんと、その友達の宮本さんがいる。
 ついでなので、桜井さんと宮本さんの紹介をしておこう。
 桜井さんのフルネームは桜井薫子。御手洗君に次ぐ成績優秀な生徒で、外見は3年生を通り越して大学生のように大人っぽく、ロングヘアのお姉さまって感じだ。
 うって変わって宮本綾奈さんは思わず『チャン付け』をしたくなるほどロリ顔なのだけど、お約束のようにはち切れんばかりの立派な胸をお持ちだ。
 性格は推して知るべし。
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