演っとけ! 劇団演劇部
 あっ、そうか。
 保健室からすぐに戻ってきた遠藤さんと桜井さんに事情を話す。
「昨日の敵は、今日の友ってやつね」
 まだ数分しか経ってないが、桜井さんも納得しているので問題ない。というわけで、CCチームは利一君とジョーを加え、ますます劇団演劇部の色が濃くなってきてしまった。
「正直まだやりたりなかったから、ありがたいぜ」
「原因が私たちにもあるから致し方ないな」
 二人もやる気満々だし戦力的には問題ないけど、手放しで喜んでもいられない。
 女子二人がすぐに保健室から戻ってきたのにも理由はあった。
 次の試合が目の前だったからだ。
トーナメントでチーム数が減ってくれば、試合の回転が一気に早まる。この試合に勝てたとしても、50分(一試合分)休んで、準決勝、決勝も連続でやらなければならず、結構ハードなのだ。
 既に僕らの前には、前の試合をストレート勝ちで終わらせて、休憩をしっかり取っているECチームが待ち構えていた。
「ゲームセット!」
 審判の先生がCCチームの勝利を告げる。
 まるで待ち構えていた体勢から動いていないようにECチームは呆然と立ち尽くしている。
 強い。強すぎるぞ。
 すっかり昼ご飯中の小島のようなテンションになっている僕を誰が攻められようか。
 男子バレーボール部員が二人もいたECチームをストレート勝ち。
 いいのか、こんなに強くって。
 これなら憎き今井率いるBBチームにも勝てるかもしれない。いや、勝てる。
 僕も慣れてきて、少しはチームに貢献できるようになったし、他のみんなは更に動きがよくなっている。
 保健室から戻ってきた綾奈ちゃんと小島も合流して、僕らは一時の休息を取っていた。
コーチの相田先輩は(いつものことだが)どこかに行ってしまったので、この休憩中に無駄な特訓なんてやってケガ人を増やす心配もない。
「悪かったな」
「いいんです、試合ですから」
 手首を捻挫して包帯を巻いた綾奈ちゃんに謝るジョーは何だか照れくさそうだった。
 小島はすり傷だけで次の試合から復帰できそうだったのに
「あとはお前らに任せた」
と、一人引退した3年生のようなことを言っている。
< 99 / 109 >

この作品をシェア

pagetop