クールな国王陛下は若奥様にご執心
春の嵐。
それはこれからの波乱を予感させる、不吉な夜だった。
窓枠を叩く風の音。
背の高い木々が風にあおられて激しく揺れる。雨はそれほど降らず、ただ風だけが強く吹いている。
侍女達を早々に帰らせ、リーレはひとり静かに過ごしていた。
窓辺に飾った花を見つめ、朝の出来事思い返してみる。
あれほど王城が騒然としたのはニ年前に母が突然倒れ、亡くなった時以来だ。それに匹敵するほどの、恐ろしいことが起こっているのではないか。
不安が胸を苛み、リーレは無意識に両手を固く握りしめていた。
もう真夜中近くになっている。
それなのに、王城の中はまだ騒然としている。
リーレも眠ることもなく、ただひたすら静かに待ち続けていた。
部屋の扉が叩かれたのは、もう明け方近くのこと。
時間帯を考えてか、控えめな音にリーレはすぐに立ち上がり、扉を開けた。
「……お姉さま」
青ざめた顔をして扉の向こうに立っていたのは、この国の王太女であり、リーレの姉であるネルだった。
それはこれからの波乱を予感させる、不吉な夜だった。
窓枠を叩く風の音。
背の高い木々が風にあおられて激しく揺れる。雨はそれほど降らず、ただ風だけが強く吹いている。
侍女達を早々に帰らせ、リーレはひとり静かに過ごしていた。
窓辺に飾った花を見つめ、朝の出来事思い返してみる。
あれほど王城が騒然としたのはニ年前に母が突然倒れ、亡くなった時以来だ。それに匹敵するほどの、恐ろしいことが起こっているのではないか。
不安が胸を苛み、リーレは無意識に両手を固く握りしめていた。
もう真夜中近くになっている。
それなのに、王城の中はまだ騒然としている。
リーレも眠ることもなく、ただひたすら静かに待ち続けていた。
部屋の扉が叩かれたのは、もう明け方近くのこと。
時間帯を考えてか、控えめな音にリーレはすぐに立ち上がり、扉を開けた。
「……お姉さま」
青ざめた顔をして扉の向こうに立っていたのは、この国の王太女であり、リーレの姉であるネルだった。