クールな国王陛下は若奥様にご執心
リーレは、扉の前に立ち尽くす姉の姿を見上げた。
姉のネルは女性にしては背が高く、小柄なリーレはその肩ぐらいまでしかない。
女性ながらきりりとした凛々しい顔立ちで、母よりも父によく似ている。濃い茶色の髪は父譲りだが、瞳はリーレと同じ緑色だ。
王太女でもある姉はいつも毅然としていて、リーレは憧れの気持ちを抱いていた。ネルもまた妹をとても可愛がり、去年結婚したネルの夫は、姉妹仲があまりにも良すぎて最初は戸惑ったと笑って話してくれたことがあった。
そんな姉が今、青ざめた顔をしてリーレを見つめている。薄暗い夜の闇のせいか、その姿はいつもとは比べものにならないくらい、弱々しく思えた。
明け方に近い時間帯。
そして尋常ではない姉の様子から察するに、この国を襲ったらしい事態は予想以上に困難なもののようだ。
昼間の叫び声を思い出し、リーレは覚悟を決めるように、両手をきつく握り締める。
「お姉さま、どうかなさったのですか?」
だが不安を押し隠し、柔らかな声でそう尋ねると、ネルはふいに手を伸ばして妹の身体を抱き締めた。
「!」
突然の抱擁に驚きながらも、肩に回された手が細かく震えていることに気が付いて、リーレは姉の背に手を伸ばす。
姉のネルは女性にしては背が高く、小柄なリーレはその肩ぐらいまでしかない。
女性ながらきりりとした凛々しい顔立ちで、母よりも父によく似ている。濃い茶色の髪は父譲りだが、瞳はリーレと同じ緑色だ。
王太女でもある姉はいつも毅然としていて、リーレは憧れの気持ちを抱いていた。ネルもまた妹をとても可愛がり、去年結婚したネルの夫は、姉妹仲があまりにも良すぎて最初は戸惑ったと笑って話してくれたことがあった。
そんな姉が今、青ざめた顔をしてリーレを見つめている。薄暗い夜の闇のせいか、その姿はいつもとは比べものにならないくらい、弱々しく思えた。
明け方に近い時間帯。
そして尋常ではない姉の様子から察するに、この国を襲ったらしい事態は予想以上に困難なもののようだ。
昼間の叫び声を思い出し、リーレは覚悟を決めるように、両手をきつく握り締める。
「お姉さま、どうかなさったのですか?」
だが不安を押し隠し、柔らかな声でそう尋ねると、ネルはふいに手を伸ばして妹の身体を抱き締めた。
「!」
突然の抱擁に驚きながらも、肩に回された手が細かく震えていることに気が付いて、リーレは姉の背に手を伸ばす。