なぜか私、クラスのイケメンツートップに告られました!
そして鏡を見ながらハッとした。
「なんで私はこんなに服装に頭を悩ませてるんだ!」
両手にワンピース持ちつつのセルフ突っ込み。
ついつい張った声を出した私に、ドアの隙間からひょいと顔を覗かせた兄の悟がサクッと言った。
「そのふたつなら、シフォンのワンピースの方が男ウケは良いぞ」
いい笑顔を浮かべつつサムズアップ付きで言われた発言に、思わずジト目を向けて言った。
「別に男ウケは望んでない!」
「でも、一緒に出かけるのあのタイプの違うイケメンふたりなんだろ?」
おい、兄よ……。
なぜ、特にこれと言って話してないのに知っている!?
鏡から兄の方に顔を向ければ、兄はしたり顔で言った。
「せっかくの花火大会。浴衣くらい着て行けば相手も喜ぶだろうに」
その言葉に谷村くんにも反論した言葉で返す。
「だって人混みだと着崩れるし、動きづらいし意外と暑いんだもの!」
すると、クワっと目を見開いて兄は言う。
「そこを我慢して着込むのがおしゃれだろ!!」
「タンクトップにハーフパンツの筋肉バカには言われたくなかった!」
まんまの格好で家に居る兄に思わず返した言葉に兄はひとつうなずくも、さらに言った。
「それでも、花火大会とくりゃ男ロマンは浴衣にアップにしたうなじだ!」
「ド変態!」
どこまでも素直な兄に噛み付く妹。
兄妹は今日も通常運転だった。