なぜか私、クラスのイケメンツートップに告られました!

「咲!終わったね。帰りにどっか寄ってこうよ。私、甘いものが猛烈に食べたいの!」

そう勢い込んで勢い込んで声を掛けてきた春子に私は笑って答える。

「それ分かる!私も甘いもの食べたいもの。寄り道して帰ろう」

私と春子は連れ立って歩き出す。

どの同級生もみんな開放感があるらしく朝のピリッとした空気は無くなっていた。

「山野、気をつけて帰れよ?また明日」

軽く声を掛けてきた里田くんは、言葉と共に頭をポンと触れると先に教室を出ていった。

その顔は微笑んでおり、教室内に小さな悲鳴が上がったのは言うまでもない……。

イケメンとは、ここまで……。
うん、みなまで言うまい……。

「里田って咲にはあんな顔するのね。そりゃみんな見守り姿勢になるわ」

サラッと呟いた春子に私はぐるっと振り返って聞いた。

「それ、どういうこと?!」

驚く私を尻目に、春子はニヤニヤと笑いつつ言った。

「今日みたいなことが夏休み明けから増えたじゃない?」

それに無言でうなずく。
確かにあの花火大会以来、里田君からはスキンシップが増えた。
それは、あのクールな生徒会副会長のイメージからはギャップを感じないではいられないほどの穏やかで優しい微笑みや、スキンシップの様子に今日みたいな悲鳴は何度も聞いた。
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