【短】失恋 未練 涙の約束
「亜由菜、後でな」
「待って。私はまだ、オーケーするなんて……」
「二人の時間は後にしろ」
「元気出せよ、亜由菜。俺がいるからさ!」
「ちょっと!!」
勘違いされそうな言葉を言う拓海を睨みつけるけれど、彼は嬉しそうに手を振るだけ。
「待って。拓海。あの……」
告白の返事などしていない。
ただそれを言える状況じゃなくて、担任に連れていかれる拓海を見守るしか出来なかった。
クラスメイトたちはおめでとうなんて言って私を囲むし、今更違うなんて言えない。
明日には、学校公認のカップルなんて持ち上げられているかもしれない。
だから拓海はトラブルメーカーなんだよ。いつもこうやって問題を起こしてくれる。
「ああ、もう……」
こうして私は告白の返事もしていないのに、拓海の恋人となってしまった。
私たち二人の中では幼なじみなのに、学校では恋人同士。ちょっと変な感じ。