【短】失恋 未練 涙の約束

「次は上手くいくからって慰めてくれたのにね。やっぱり私、駄目だったな」

「駄目じゃない」



 拓海が怒るように言うから、私はびっくりして見つめてしまう。
 真剣な表情をするから、何だか恥ずかしくなる。



「お前、自分が思ってる以上にいい女だよ」

「なに恥ずかしいこと言ってんの?」

「もう一つ思い出して欲しいんだけど」



 拓海が右手の人差し指を出す。
 こいつの指、長くて綺麗で嫉妬しちゃう。いつもそんなこと思ってたような……。



「もう忘れたわけ?」

「失恋したばかりで、頭の中がまだ混乱してるの!」

「スッキリしたって言ってなかったか?」

「すぐ嫌味言う。だから嫌い!」

「俺は好きなんだけど」



 こいつは何を言い出すんだろう。
 失恋した私を慰めようとして、変な方向にいってる気がする。

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