欲しいのは、たったひとり。
と、寮から学校までの短い距離で回想をしていると。



「────なーなのっ!」


「わっ!」



私の名前を呼ばれると同時に肩を誰かに押され、前に倒れそうになる。




後ろを向くと、肩にスクールバッグを掛けなおしたひびちゃんと、隣で笑っているひーちゃん、せらちゃんがいた。




「おっ、おはよう!ひびちゃんひーちゃんせらちゃん!」



私が3人に向かってあいさつをすると、




「あぁ、今日も可愛いわね七乃!」


「私たちの癒しよね........」


「七乃ちゃん毎日可愛くなってる!」




と、よく分からないことを言い出した。



こうやって毎日、3人で意味のわからないことを話す。



誰のことを言ってるんだろう。




首を傾げて、3人のことを見つめても、誰も答えない。




「ほんとにななちゃん鈍感!可愛い!」



「ん?ひびちゃん、目大丈夫?誰が可愛いの?」




私がそう言うと、ひーちゃんは「はぁ」とため息をついた。




「七乃はずっと気づかないだろうから、教室行きましょ」




ひーちゃんに促され、3人と一緒に教室へ向かった。
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