欲しいのは、たったひとり。
『七乃、好き』


あーーー! どうして、どうして、どうして、



「私の名前知ってるんですかー!」


私はすっごく驚いているのにも関わらず、この目の前にいる美形は。


「あー、うん。まぁね。」


なんて、焦りもせずに答える。


って言うか、『まぁね』って何、『まぁね』って! 意味わからん!


ここから逃げ出そうと美形から離れ、屋上のドアへ近づこうとするけど──。


────パシッ


私の腕を掴まれる。


恐る恐る、後ろを振り返ると、笑顔の美形男子がいて。


「俺の名前は、桜野 陽日(さくらの ひか)。
覚えといてね、七乃」


美形男子はそう言って1人で去っていった。


い、意味分かんないーーー!




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