欲しいのは、たったひとり。
ってこんなことをしてる場合じゃねーー!


「は、離れてください──!」

「イヤ」


ちょっと雰囲気戻ったけど、離れてくれない!


そう、まだ抱きしめられている。


さっきナイスツッコミが繰り出されたのにも関わらず。


「あ、あの、これからお昼ご飯の時間なんですけどー」


私がお弁当包みを掲げて見せると、桜野くんは目を輝かせた。


そして、体を離してくれた。

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