欲しいのは、たったひとり。
どうしようかと悩んで俯いていたら。


────ガコッ


「痛った!」

「あはははっ! あなたって声が出たのねぇ」


ヒザを蹴られました。


条件反射で声を出したけど、実はあまり痛くない。


昔、お母さんに『お嬢様が自分の身を守れなかったらダメよ』と言われ、5年ほど極真空手を習っていたので、今は師範代である。


あそこで何も言わなかったら変だもんね。


「ちょっと! あんたいつまで黙っているの!?」


また私が俯いていると、耳元で怒鳴られた。


正直、うるさい。 ええ、ほんとに。


すると、さっき私のヒザを蹴ったリーダー格の女子の隣にいるその子分が出てきた。

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