欲しいのは、たったひとり。
30分ほどして、ダンボールから荷物が出し終わり、雑貨や貴重品は、私のために用意してくれたという部屋に置かせてもらった。
私のためにって、同居する気満々だったのかな、なんて思ってしまうんだけど、無視しよう。
というか、陽日くんは私に「好き」と言った張本人。
私だって一応、か弱い女の子だし?
何されるか分かんないしなぁ〜。
あ、やめて!殴らないで!
また1人劇場を開催してたら、陽日くんが私のことを見つめていた。
え、なになに?もしかして、私に見とれてた!とかじゃないよね〜。
は、やめろ!そんな自意識過剰になっては
いけないぞ。さすがに引かれるね。
「陽日くん?どうしたの」
控えめに私が聞くと、クスッと笑って答えた。
「え。なに1人劇場開催してんのかな〜って思って」
な、なんだってぇ! なぜ1人劇場を開催してることがわかったんだ!
入場できるのは私と脳内に住み着いてる住人だけのはずだが!
怖いな・・・・。
「ひ、陽日くん!1人劇場の入場券は持ってるのか!」
「は?入場券?」
入場券を持ってないのになぜ1人劇場を開催してることが分かったんだ?
んー、これは大ミステリーの話ができそうだ。
あ、ちげぇわ! 大恋愛の話だったな!