欲しいのは、たったひとり。
ええー、絶賛唖然しております。


陽日くんがこんなにも料理ができないなんて。


一応私も昔は令嬢だったわけで、初めて料理をしたのが6年生の時。



でも、でもさ、でも!



こんなにもできなかったわけではない。


うん。多分。




とりあえず、陽日くんがやけどしていないかを確認しないと!私も1度やけどしちゃって、その傷痕は1週間消えなかったから。



「陽日くん!やけどしなかった?」


「んー、大丈夫かな!」



笑ってそう言う陽日くんだけど、心配だからちょっと拝見させてもらう。



「触るねー」


一言謝ってから、陽日くんの手のひらを見せていただく。



うん。大丈夫かな。



「陽日くん、特に痕は残ってなかったから・・・・あれ、顔赤くなってるけど大丈夫?」



今度は陽日くんの顔の赤さが心配になってきた。



「だ、大丈夫じゃねぇよ・・・・っ」



吐息混じりに呟いた声は、あまり聞こえなかった。




「えっと、じゃあ一応保冷剤で冷やしとくね」


「あぁ、さんきゅっ」



冷蔵庫から保冷剤を取り出し、陽日くんにはソファで座りながら冷やしといてもらう。



私は床をササッと拭いて、またカレーの調理を始める。


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