欲しいのは、たったひとり。




──────数時間後。



いや、数分なのかもしれない。



それすら分からない。




ひたすら、ぼーっとしていたら時間が過ぎていた。




私はこのままだーーれにも見つからないまま死ぬのかな。それだったら寂しいな。




う、自分で思いながら虚しいぜ。




ずっと三角座りにしてたけど、さすがに腰がしんどくなってくる。



1度立ち上がって、ドアの方に近寄って耳を澄ませてみるけど。




うん。ばっちり聞こえないね。




この場所を選んだのにも訳があったってことか。



さすがだ、陽日くんのファン。



愛が強いってことだな。





でも、でも。 やっぱり私は。





「怖いよおおおおおおお!!!!!!!」





叫ぶしかなかった。誰もいないし、誰にも聞こえないくらい分かってる。




でも、怖いから。とにかく怖いから。




叫んだ途端、身震いがした。



と同時にあの時を思い出す。





私は、狭いところが苦手。



大きな病気ってわけじゃないけどね。
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