欲しいのは、たったひとり。
【七乃side】



なんだろう、ドンドンと音がするような気がする。




その音で、私は目が覚めた。




決して綺麗ではない床に体を預けていたせいで、腰や首が痛い。





すると、そのとき、ドンドンという音が消えた。





むむ?





顔を横に向け、耳を澄ましてみる。





────ガチャ





「ひいっ!」





待って、第三会議室の鍵が開いたの?




まさか、私死んじゃったの?




この世で私がいけないことばかりをしてしまったから、地獄行きなの?





いや、でも私なにも悪いことしてないよ?




ううん、自分が悪いことをしてないと思っていても、他者が不快に感じることをしてしまったのかもしれない。





でも地獄行きは嫌だよおおおおお!!!!





私が自分のこれからに嘆いていると、私がいる部屋に近づく足音が。





あ、待って。心の準備がっ!





私の願いも叶わず、ドアの前でピタリと足音が止まった。




────ガチャ





鍵が、開いた。





あ、私の人生終わった.......。





そして、最後の力を振り絞って叫んだ。




私の願いは届かないんだけど。
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