欲しいのは、たったひとり。
「うっ、ひっ、ひか、くん........」




嗚咽が出て、上手く話せなくなる。




でも、陽日くんが優しく頭を叩いて、「遅くなってごめんな」と呟いた。




「でっ、でも、ひっ、ひかっ、くん助けに、来てくれたっ、よ?」




詰まりながら話したけど、陽日くんには伝わったみたいで。




顔を上げたら陽日くんが私を優しく見ていた。





でも、すぐに陽日くんは表情を変えた。





「それより七乃、地獄の番人って........?」



「はっ。あ、あの、そっ、それは........」




思わず口ごもってしまう。




すると、陽日くんはニヤリと笑った。




「んー、でも、まぁいいや。後で聞くから、あそこに座ろ」




指をさされたすぐそこに、2人で腰を下ろす。





「よし、じゃあ話してもらおう。七乃、話せる?」





私にそう優しく聞いた陽日くん。




“うん”と頷いて、私は朝のことから話し始めた。





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