欲しいのは、たったひとり。
「七乃、制服汚れてるよ?大丈夫?」


「え、汚れてるの?」



私は首を後ろに向けて、確認するけどよく見えない。



すると、陽日くんはおもむろに制服のブレザーを脱いで、紺色のシャツ姿になった。




「えっ、陽日くん寒くないの?どうして脱いだの?」



そして、私が着ていたブレザーを脱がして、



「ほら、着て」



その代わり、フワッと私の肩にかかったのは陽日くんが着ていたブレザー。




「えっ!待って、私大丈夫だよ?汚れててもあまり気にしないよ?」




私はそう言ってブレザーを取って陽日くんに返そうとしたけど、それを陽日くんに制止される。



「いーから。七乃には綺麗な制服の方が似合ってるから」



なんて、変な言葉を付け足して。




「陽日くん、頭大丈夫?どこかで打った?」




もしかしたら、病院行きくらい大変だと危ない!




「ん?俺はいつも通りだけど」



こ、これが陽日くんのいつも通りなのか........。




「よし、1回保健室行こ?七乃が心配だから」



「え、別にいいよ〜。なにもなかったよ?」



「そんなわけない!ほら、行こ」




私はそのまま、陽日くんに腕を掴まれ、保健室に連行されたのでした。
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