【短編】彼シャツ。
彼シャツ。
彼との公園デートの最中、突然雨粒が落ちてきた。
「あ、雨??」
「みたいだな」
二人で空を見上げた。
抜けるような青空は、いつの間にか入道雲で覆い被されていた。
「走るぞ」
「うん」
彼は私の手を握ると走り出した。走るが早いか濡れるが早いか……。軍配は入道雲に上がる。彼のマンションに着く頃には二人ともびしょ濡れになっていた。
「ふう」
「濡れちゃったね」
二人で彼の部屋に入る。彼は私にシャワーを勧めた。
服、洗濯機に入れとけよ、と言いながら彼は私にシャツを差し出した。服を洗濯して乾燥機に掛ける間、着てろということなんだろう。
シャワーを浴び終えてバスタオルで髪や体を拭く。彼から渡された白いシャツに袖を通すと裾は膝上まで垂れ下がる。半袖の筈が私には7分袖。でもワンピースみたいで可愛い。
部屋に行くと彼は先に着替えを済ませてタオルでガシガシと髪を拭いていた。
「……?」
目が合うけどすぐに逸らされた。窓を見れば、もう青空に戻っていた。私は窓辺に寄り、外を眺める。
「なあ」
「なあに?」
「なんか……いいな。そーゆーの」
「そういうの、って?」
自分の格好を見下ろす。ワンピースには少し短い丈。しかも薄手の生地はシースルーのようで。
「やっ……」
「そうじゃないよ」
「じゃあ……何?」
「白、似合うと思ってさ」
部屋の奥にいる彼は窓辺にいる私が逆光なのか目を細める。
「着てるのを見たいと思ってさ……」
「え、何を」
彼を見つめるけどなかなか答えてはくれなくて。
しばらくしてようやく口を開いた。
「……ドレス」
ドレス、白いドレス……??
「……」
今度は私が黙り込む。だって頭の中も真っ白……。
「そろそろ、考えてくれないか?」
「あ……うん……」
私がしばらくして返事をすると彼は笑った。
(おわり)
「あ、雨??」
「みたいだな」
二人で空を見上げた。
抜けるような青空は、いつの間にか入道雲で覆い被されていた。
「走るぞ」
「うん」
彼は私の手を握ると走り出した。走るが早いか濡れるが早いか……。軍配は入道雲に上がる。彼のマンションに着く頃には二人ともびしょ濡れになっていた。
「ふう」
「濡れちゃったね」
二人で彼の部屋に入る。彼は私にシャワーを勧めた。
服、洗濯機に入れとけよ、と言いながら彼は私にシャツを差し出した。服を洗濯して乾燥機に掛ける間、着てろということなんだろう。
シャワーを浴び終えてバスタオルで髪や体を拭く。彼から渡された白いシャツに袖を通すと裾は膝上まで垂れ下がる。半袖の筈が私には7分袖。でもワンピースみたいで可愛い。
部屋に行くと彼は先に着替えを済ませてタオルでガシガシと髪を拭いていた。
「……?」
目が合うけどすぐに逸らされた。窓を見れば、もう青空に戻っていた。私は窓辺に寄り、外を眺める。
「なあ」
「なあに?」
「なんか……いいな。そーゆーの」
「そういうの、って?」
自分の格好を見下ろす。ワンピースには少し短い丈。しかも薄手の生地はシースルーのようで。
「やっ……」
「そうじゃないよ」
「じゃあ……何?」
「白、似合うと思ってさ」
部屋の奥にいる彼は窓辺にいる私が逆光なのか目を細める。
「着てるのを見たいと思ってさ……」
「え、何を」
彼を見つめるけどなかなか答えてはくれなくて。
しばらくしてようやく口を開いた。
「……ドレス」
ドレス、白いドレス……??
「……」
今度は私が黙り込む。だって頭の中も真っ白……。
「そろそろ、考えてくれないか?」
「あ……うん……」
私がしばらくして返事をすると彼は笑った。
(おわり)