ダイヤモンドの君は笑う
「わかった。じゃぁ痛みが引くまでね。リビングからは出ないこと」
「えぇ!じゃぁミカちゃんは家庭教師と部屋に2人きり!?」
「普通でしょそれくらい」
黙っていればそれなりにかっこいいのに、この男は……
「俺も一緒に部屋にいちゃダメ?」
「ジュースとお菓子、用意しとく」
そう言って冷蔵庫からジュースとケーキを用意しているとインターフォンがなった。
もう来たのかと、振り返ると若宮が立っていた。
あっ、と気付いた時にはもう遅い。
鼻先が触れるか触れないか、それほどまでに近い距離に一瞬息が詰まる。
「ちょっ、なにして」
「ねぇ、“ひとりでいること”って…そんなに大事?」
低い声が、耳元で囁かれる。
「俺、いっぱい考えたけどわからないよ。だってそんなの…1人は嫌だって言ってるようなもんじゃない」
離れていた距離がゼロになる。
若宮の頭が、肩に乗せられてわずかな重みと自分とは別の暖かさが伝わってきた。
「ひとりにしてってそんなに願うなら、俺を納得させて。それが無理なら、そばにいさせて。俺に、ミカのそばにいる確かな理由を頂戴よ…」