ダイヤモンドの君は笑う

支離滅裂な言葉を、彼はただ黙って聞いてくれる。慰めることも、共感することもしない彼の優しさが、嬉しかった。


「そしたら、 I won't separate…って」



若宮と初めてあった時、最初は聞き間違えだと思った。けれど今は違うと断言できる。


あれは確かに、若宮が私に言ったのだ。会って数分の私に、そう言いのけたのだ。


「言葉だけなら、誰だって言える…」


離れない。一人にさせない。
同情からか、それとも好奇心が。
なんにしても人の口から出て来る言葉の軽さは痛いほど知っている。


頭痛がした。胸が締め付けられる。思い出したくない苦い記憶が、呼び起こされそうになる。


「どんな子?」


「え?」


「どんな子なの?教えて実花。君の言葉で、俺に説明して」


言いながら彼は、私の両肩を下に押して、床に座らせる。自分も私の前に腰を下ろし、目線を合わせて優しく言った。


子供を諭すかのような柔らかな目をしていた。


「変な奴。金髪でバカみたいにピアス開けてて、とにかく他と違う」


どんな奴だったか、思い出すよりも先に、口がどんどん動く。


「いつも笑ってて、道化師みたいに人の顔を見ながら笑わせてる。一人が嫌いって言ってた、だから、私を一人にしないって…」


言ってから、鼻の先に若宮のそれがぶつかったときのことを思い出し、私は無意識に顔を手で覆った。


顔が熱い。
なぜ?わからない。こんなこと、今までなかった。
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