ダイヤモンドの君は笑う
若宮と、目があった。
微笑まれた。本当に優しく笑っていた。
「でも、安心して。
絶対に、俺のこと好きにさせてみせるから」
飾らない、ストレートな言葉に息が止まる。目が、若宮から逸らせない。
「は、離して。てか、足!痛いんじゃなかったの?降ろしてよ」
私は若宮の足に乗りかかっている状況。元々怪我をしたから若宮は私の家にいるんだ。
「ぜーんぜん平気。軽いし」
「そんなわけ…っ」
不意に指先に生暖かい、柔らかな何かが触れる。それが若宮の唇だと気づくのに、時間はかからなかった。
「俺がミカのことを好きなのと同じくらい、ミカに俺のこと、好きになって欲しい」
「なんのために…分からない。なんでそんなに私に構うの。若宮には、他の子がいっぱいいるじゃない!」
「ジェラシー?」
「違う!」
「jealousy」
此の期に及んで、発音を指摘しているわけが無い。からかわれてる。
また、私をからかって楽しんでる。
若宮だ。紛れもなく。
戯けて、ふざけて、人を笑わせるために笑ってる。
「ミカ」
「なによ!」
「家庭教師には俺、負けないから」
掴まれた手にまたキスが落ちる。
手の甲、指先、手のひらと何度も落とされるそれに、私はくすぐったさに身をよじった。
「かーわいい」
「Get out!」
もう二度と、若宮を家にあげないと心に誓った。