ダイヤモンドの君は笑う
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「七原 実花です。“みはな”ですが、みんなにはミカって呼ばれてました」
注目を浴びるのは、得意ではない私は視線をなるべく上の方にやって自己紹介を進めていく。
学期始めの転校生ならともかく、季節外れに来た転校生。良くも悪くも注目の的だ。クラス全員の視線が、自分に向けられていることに立ちくらみそうになるのをなんとか堪える。
自己紹介といえば名前と趣味…部活が鉄板だろう。それと一言何かウケる挨拶があれば、尚いいというものだろうけれど……。
「それで終わりか?もっと趣味とか、部活とか、一言クラスに挨拶しとけ」
先生が隣で私に囁く。
あいにく私は、自分の嗜好を人に知らせるのは好きではない。だからと言って適当な嘘は後々自分の首を絞めかねない。
面倒ごとは避けて、できれば卒業まで、一人でおとなしくしていたい。
「おい、聞いてるのか七原」
無視していると思ったのか、少し苛立った先生の声に、拳を強く握り絞めた。
ニッコリと当たり障りのない笑みを浮かべて愛想よく“仲良くしてください”
なんて…その一言は、絶対に言いたくない。
それでも今、このクラスに私なりの挨拶をするのなら、
「Please leave me alone.」
一人にしてくれと、
そう言うのが一番ではないだろうか。