ダイヤモンドの君は笑う
「まぁ、そう言うこと！悪いねぇ君たち！愛し合う2人に言葉はいらないってねっ」


その場で可憐にクルンと回って、さらにはパチンとウィンクをする若宮。


周りの男子は手を叩きながら、けたたましく盛り上がり、爆笑の渦へと変わっていく。

その中でいくつかの女子の悲鳴が上がった。おそらく、若宮に好意を持っている女子が多くいるのだろう。


だとしたら、面倒だ。


「ねぇ、ミ〜カちゃん！」


ニコニコと愛称で呼ぶ若宮。
視線がまた私に移った。


みんな私がなんと答えるか、反応するか面白がっているんだ。


冗談じゃない。
ピエロや道化師のように笑い者になるのはごめんだ。


私は注目を集めたまま、教壇を降りる。静まり返った教室には、私の足音しかしなかった。


答えたくない。
若宮と自分の関係がなんだ。
説明する必要がどこにある？
さっき初めて廊下で会ったと正直に言ったところで、クラスの反応はいまいちだろう。


求められている答えは、本当の話ではなく馬鹿馬鹿しい尾びれ背びれがついたドラマティックなフィクションなんだ。


いい加減にして欲しい。
私はだれかを楽しませるためにいるわけじゃない。教壇は舞台じゃない。


私は、役者じゃない。




私はこのクラスで、
若宮のような道化師の仮面をかぶるつもりはない。




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