ダイヤモンドの君は笑う
先生に指定された席に着くと同時に、チャイムが鳴った。
タイムアップだ。
視線が次第になくなっていくことに、張り詰めていた緊張が解けていく。
「じゃぁ、今日からよろしくやってくれ。それと放課後、文化祭委員は俺のところに来るように。以上」
先生はそう言って教室を出ると、みんなそれぞれ動き出す。授業の準備をするもの、教室を出るもの、私を見ながら友達と話すもの。
「ねぇ、ミカちゃん」
若宮が私にこっそり話しかける。
「なに?」
そう言って若宮の方を向くと、少し驚いた顔をした若宮がいた。
「なによ」
「あ、いや。無視されると思ったから」
「用がないなら、そうする」
若宮が小さく吹き出す。
金髪頭が太陽に照らされて、キラキラと眩しく輝いていた。
「なんであんなこと言ったの?」
あんなこととは…
×××××
『Please leave me alone.』
×××××
「寂しくないの?」
やっぱりだ、若宮。
わかってるんだ、私がなんて言ったのか。ちゃんと聞き取れてる。
「寂しく見える?」
そう聞くと、若宮はうーんと悩んで、首を横に振った。
「でも、理解できないなぁ」
「そんなもんよ。他人なんだから」
「うわぁ冷たぁ〜。ま、正しいんだけどね。それでも俺はやっぱりダメだなぁ。俺、常に誰かと一緒にいたいタイプ」
若宮はそういうと、立ち上がり、両手で私の肩を掴む。
「だからさ、俺ももう一回言っとくね
」
ぐいっと引き寄せられて、若宮の顔がすぐそこまで迫る。
鼻と鼻の先がぶつかる。
目があった。若宮はかすかに微笑むと、耳元で囁く。
「I won't separate.
…ミカ、俺は君を決して1人にはしないよ」
教室のどこかで、女子の悲鳴が聞こえた気がした。