ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
ホテルに到着したのはお昼少し前だった。
噂には聞いていたが、リニューアルしたばかりだからか、噂以上に素晴らしいホテルだった。
案内された部屋は最上階に二部屋しかないスイートルームの一つ。
「こちらは副社長のお部屋です。山本様もご一緒にお使い下さい」
喜田さんの言葉に、『なぜ一緒?』と問いたかったが、きっと副社長の命令だろうと無駄な反論はしないでおいた。
なぜなら、スイートルームにはメインルームの他に二部屋あったからだ。
「社長のお部屋は……」と喜田さんが申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「分かっているよ。ないんだろう?」
えっ? じゃあどこで寝るの?
「はい、ですので」とチラリと副社長を見る。
「えっ、もしかして泊めてやれと?」
なるほど!
「どうぞどうぞ! 三つもお部屋があるんですからお使い下さい。それに瑞樹も喜びます」
副社長の返事も聞かず了解してしまう。
「おお、奈々美君は優しいね。ありがとう」
ニコニコする社長の横で副社長が苦虫を噛み潰したような顔でブスッとする。その時だ。
「あら? 今回は愛人と子どもも一緒なの!」
剣のある声がスイートルームに響く。
噂には聞いていたが、リニューアルしたばかりだからか、噂以上に素晴らしいホテルだった。
案内された部屋は最上階に二部屋しかないスイートルームの一つ。
「こちらは副社長のお部屋です。山本様もご一緒にお使い下さい」
喜田さんの言葉に、『なぜ一緒?』と問いたかったが、きっと副社長の命令だろうと無駄な反論はしないでおいた。
なぜなら、スイートルームにはメインルームの他に二部屋あったからだ。
「社長のお部屋は……」と喜田さんが申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「分かっているよ。ないんだろう?」
えっ? じゃあどこで寝るの?
「はい、ですので」とチラリと副社長を見る。
「えっ、もしかして泊めてやれと?」
なるほど!
「どうぞどうぞ! 三つもお部屋があるんですからお使い下さい。それに瑞樹も喜びます」
副社長の返事も聞かず了解してしまう。
「おお、奈々美君は優しいね。ありがとう」
ニコニコする社長の横で副社長が苦虫を噛み潰したような顔でブスッとする。その時だ。
「あら? 今回は愛人と子どもも一緒なの!」
剣のある声がスイートルームに響く。