ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
「蘭子さん!」
社長と副社長が同時に声を上げる。
「誤解です。彼女は僕のフィアンセです。そして……」
副社長が瑞樹を紹介しようとしたとき、蘭子さんが「あら?」という顔をする。
「彼女の子なの?」
「だからぁ、彼女の甥です」
「ふーん」と鼻を鳴らした蘭子さんが私と瑞樹の顔を行ったり来たりさせながら、「ところで」と副社長を睨む。
「いつ婚約なんてしたの? 私、そのパーティーに呼ばれていないけど」
「正式にはまだです。蘭子さんに紹介してからと思いまして」
はい? そんな話は一度も聞いていない。咄嗟の嘘?
「だから、今回、連れてきたんです。この機に乗じて」
副社長がニヤリと笑う。
どうやら嘘ではないらしい。
「リニューアルオープンのパーティーを婚約発表の席にしようと?」
「流石、一を聞いて十を知る蘭子さんですね」
副社長のおべっかにもにこりともしない蘭子さん。
「お上手を言っても誤魔化されないわ。悪いけど、彼女と二人きりにしてもらえない」
蘭子さんの言葉はお願いなんかじゃない。
私以外の人たちに『出て行け』と言っているのも同じだ。
嘘でしょうと青くなる。『一人にしないで!』と副社長に目で訴えるが、全く通じなかったみたいだ。
社長と副社長が同時に声を上げる。
「誤解です。彼女は僕のフィアンセです。そして……」
副社長が瑞樹を紹介しようとしたとき、蘭子さんが「あら?」という顔をする。
「彼女の子なの?」
「だからぁ、彼女の甥です」
「ふーん」と鼻を鳴らした蘭子さんが私と瑞樹の顔を行ったり来たりさせながら、「ところで」と副社長を睨む。
「いつ婚約なんてしたの? 私、そのパーティーに呼ばれていないけど」
「正式にはまだです。蘭子さんに紹介してからと思いまして」
はい? そんな話は一度も聞いていない。咄嗟の嘘?
「だから、今回、連れてきたんです。この機に乗じて」
副社長がニヤリと笑う。
どうやら嘘ではないらしい。
「リニューアルオープンのパーティーを婚約発表の席にしようと?」
「流石、一を聞いて十を知る蘭子さんですね」
副社長のおべっかにもにこりともしない蘭子さん。
「お上手を言っても誤魔化されないわ。悪いけど、彼女と二人きりにしてもらえない」
蘭子さんの言葉はお願いなんかじゃない。
私以外の人たちに『出て行け』と言っているのも同じだ。
嘘でしょうと青くなる。『一人にしないで!』と副社長に目で訴えるが、全く通じなかったみたいだ。