ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
「了解!」と渋々ながら承知をすると、「父さん行くよ」と瑞樹を抱き社長を誘う。どうやら蘭子さんには逆らえないようだ。
喜田さんがドアを開けるが、社長は何か言いたげにその場に佇んだまま蘭子さんを見つめる。
「そこの貴方も、さっさと出て行って!」
蘭子さんの怒号が飛ぶ。
「ほら、行くよ」と副社長が無理矢理社長の背中を押す。
――そして、部屋には誰もいなくなった……蘭子さんと私以外。
「それで? 拓也とはいつ知り合ったの?」
ソファに腰を下ろし足を組むと、前置きもなく蘭子さんが質問する。
その佇まいは何と言おうか……ひと言で言えば女王様だろうか。物凄い威厳だ。
恐ろしいまでの重圧に押し潰されそうになりながら、何と言えばいいのだろう……と考えたが、下手な嘘を吐いても、彼女にはすぐにバレるだろう。だから正直に話した。
全て聞き終わった蘭子さんがブハッと豪快に吹き出した。
意外な反応に私は目を点にする。
「あの拓也がねぇ、恩返しの同居? 笑っちゃうわ」
お腹を抱えて本気で笑い出した。何がそんなに可笑しいのだろう?
一頻り笑ったあと、蘭子さんが訊ねる。
「翠花さんに似ていたからかしら?」
「えっ!」
副社長の初恋をご存じだったの?
喜田さんがドアを開けるが、社長は何か言いたげにその場に佇んだまま蘭子さんを見つめる。
「そこの貴方も、さっさと出て行って!」
蘭子さんの怒号が飛ぶ。
「ほら、行くよ」と副社長が無理矢理社長の背中を押す。
――そして、部屋には誰もいなくなった……蘭子さんと私以外。
「それで? 拓也とはいつ知り合ったの?」
ソファに腰を下ろし足を組むと、前置きもなく蘭子さんが質問する。
その佇まいは何と言おうか……ひと言で言えば女王様だろうか。物凄い威厳だ。
恐ろしいまでの重圧に押し潰されそうになりながら、何と言えばいいのだろう……と考えたが、下手な嘘を吐いても、彼女にはすぐにバレるだろう。だから正直に話した。
全て聞き終わった蘭子さんがブハッと豪快に吹き出した。
意外な反応に私は目を点にする。
「あの拓也がねぇ、恩返しの同居? 笑っちゃうわ」
お腹を抱えて本気で笑い出した。何がそんなに可笑しいのだろう?
一頻り笑ったあと、蘭子さんが訊ねる。
「翠花さんに似ていたからかしら?」
「えっ!」
副社長の初恋をご存じだったの?