ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
「まぁ、お茶のお陰もあるけど、元々、我が一族は太らない体質みたい」

そうなんだ、羨ましい……。

私は副社長宅にお世話になってからというもの、食事事情がよくなりすぎて三キロ太った。このままでは五キロの壁もすぐそこだ。

「あらっ? 貴女は痩せすぎよ。まぁ、一人で甥御さんを育てているのだから相当苦労したんでしょうけど。あと十キロぐらい全然大丈夫よ」

フフフと笑いながら、「でも、気になるようならダイエットティーを持ってお帰りなさい」と女神のようなことを言ってくれる。

「喜田、あとは私がやるから下がってくれていいわ」
「かしこまりました。お食事は三十分後です」
「分かりました。宝玉の間だったわね。迎えに来なくていいわ」
「了解しました。あちらでお待ち致します」

喜田さんはそう言って部屋をあとにする。

「さてと、人払いもできたし……」

蘭子さんの瞳が私をジッと見つめる。
身の内まで見通すような射貫くような視線だ。

口に入れたお茶をゴクリと飲み込み、次の言葉を待つ。

「貴女、もしかしたら翠花さんの妹の奈々美さん?」

疑問形だが、その言葉には確信めいたニュアンスが含まれていた。
――誤魔化せない。
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