ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
「東條寺と新堂が仲違いしたのは義父たちのせいなの。貴女のお祖母様を巡ってね」

蘭子さんの話では、両家の祖父と我が祖母の三人は幼馴染だったらしい。だが、三角関係似陥り、両家は仲違いしたようだ。

「こんなにお祖母様に似た貴女を見て、新堂家の人間って気付かない人たちの気が知れないわ」

蘭子さんは東條寺の義父が遺したアルバムで祖母の顔を知っていたそうだ。

「でも、争いは義父たちの話であって、その子どもである卓さんには関係ないこと。それなのにいつまでも義父に逆らえず新堂を目の敵にして……で、とうとうあの日」

「出て行かれたんですね?」
「そう。新堂とホテルが被ったからキャンセルって、本当、お馬鹿でしょう?」

サプライズのことも知っていたんだ。

「だから別居することにしたの」
「でも、十五年って……」
「そうなの、十五年経っても犬猿の仲ってどうなの!」

別居のことを言ったつもりだが、蘭子さんは喧嘩のことを言っているようだ。
確かに長い。

「息子にも腹を立ててたの」
「副社長ですか?」
「そう。翠花ちゃんが好きなら好きって告白すればいいものを鳶に油揚げをさらわれるとは」

「情けない!」と履き捨てる。
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