ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
勿論、行きますとも! 点滴が効いたのか気分はスッキリしていた。謝って済むのなら土下座でも何でもする。賠償金なんて払えない。
だが、息せき切って最上階まで来たのに、警備員にストップをかけられる。
まぁ、重鎮たちが入院する階だから仕方がないのだが、今はそんなことを言ってはいられない。身振り手振りで必死に状況を説明して、ようやく通してもらい副社長のいる特別室の前まで来たが……。
ダメだ! 怖くてドアが開けられない。なのに……。
「帰ってくれ!」
病室の前に突っ立っていると、中から怒鳴り声が聞こえた。
何てことだ! 顔を出す前に帰れとは……そんな殺生な、と思わず引き戸を開ける。
「ですが、副社長、その足では……付き添いが必要です」
「だから剣持(けんもち)を呼べと言っているだろう!」
痴話喧嘩? どうやら私を怒鳴ったのではないようだ。
「剣持秘書主任が抜けたら業務が滞ってしまいます!」
「だから……君が世話をするというのか?」
ポッと頬を染めたのは、ブランドと思しきスカイブルーのスーツを着た女性だった。横顔しか見えないが、かなりの美人だ。
「はい、秘書課代表で私が参りました」
「おおかた五人でジャンケンでもしたんだろう」
それは五人も秘書がいるということだろうか?
「付き添いなら……ほら、そこにいる彼女に頼む」
いきなり副社長の人差し指が私を差す。
驚いた! 気付いていたんだ。でも、彼女の方が私の数倍も驚いたようだ。
「貴女何ですか? 誰の許可を貰ってここにいるのです!」
吊り上がった眼で私を睨み付けながらキツイ声で詰問する。
怖っ! さっきの恥じらいはどこへ? まるで別人だ。
「僕をこんな姿にした張本人」
固まったまま唖然とする私の代わりに副社長が答えた。
「まぁ! 貴女なの。拓也さんをこんな姿にしたのは!」
秘書なのに名前呼び? この二人の関係は?
だが、息せき切って最上階まで来たのに、警備員にストップをかけられる。
まぁ、重鎮たちが入院する階だから仕方がないのだが、今はそんなことを言ってはいられない。身振り手振りで必死に状況を説明して、ようやく通してもらい副社長のいる特別室の前まで来たが……。
ダメだ! 怖くてドアが開けられない。なのに……。
「帰ってくれ!」
病室の前に突っ立っていると、中から怒鳴り声が聞こえた。
何てことだ! 顔を出す前に帰れとは……そんな殺生な、と思わず引き戸を開ける。
「ですが、副社長、その足では……付き添いが必要です」
「だから剣持(けんもち)を呼べと言っているだろう!」
痴話喧嘩? どうやら私を怒鳴ったのではないようだ。
「剣持秘書主任が抜けたら業務が滞ってしまいます!」
「だから……君が世話をするというのか?」
ポッと頬を染めたのは、ブランドと思しきスカイブルーのスーツを着た女性だった。横顔しか見えないが、かなりの美人だ。
「はい、秘書課代表で私が参りました」
「おおかた五人でジャンケンでもしたんだろう」
それは五人も秘書がいるということだろうか?
「付き添いなら……ほら、そこにいる彼女に頼む」
いきなり副社長の人差し指が私を差す。
驚いた! 気付いていたんだ。でも、彼女の方が私の数倍も驚いたようだ。
「貴女何ですか? 誰の許可を貰ってここにいるのです!」
吊り上がった眼で私を睨み付けながらキツイ声で詰問する。
怖っ! さっきの恥じらいはどこへ? まるで別人だ。
「僕をこんな姿にした張本人」
固まったまま唖然とする私の代わりに副社長が答えた。
「まぁ! 貴女なの。拓也さんをこんな姿にしたのは!」
秘書なのに名前呼び? この二人の関係は?